更新日: 2024年11月19日
重要文化的景観「智頭の林業景観」
平成30年2月13日、「智頭の林業景観」が国の重要文化的景観に選定されました。
文化的景観とは
文化的景観とは、平成16年の文化財保護法の改正に伴い、有形や無形などの文化財の種類として、景観の文化的な価値を評価し、地域で守り継ぐために新たに制度化されたものです。
文化的景観は日々の生活に根ざした身近な景観であるため、日頃その価値に気がつきにくいものですが、人々の生活や生業、その地域の風土により形成された欠かせないものであり、地域の誇りとして次の世代へと継承していきたいと考えています。
文化的景観の中でも特に重要なものを「重要文化的景観」として国が選定する制度が整えられました。「重要文化的景観」は、いわば「風景の国宝」ともいえる文化財です。
文化的景観についての詳細は下記リンクからアクセスしてください。
「智頭の林業景観」について
中国山地を背景とした山間地において,江戸時代から続く人工林とその森林に囲まれた山村集落,旧街道から成る林業景観である。樹齢約350年と伝わる慶長スギと名付けられた大木が現在も残っている。江戸時代に山林の減少が原因とされる大洪水や飢饉(ききん)などの被害が相次いだため,鳥取藩の管理のもと災害対策と産業振興としてスギの植林が盛んに進められた。智頭の林業にとって最も重要であったのが,積雪地帯であるこの地に生息していた天然スギを利用して明治期において育苗技術が確立されたことであった。この技術確立により,明治期に植林された100年を超えるスギ人工林が豊富に残っており,その後の大正時代から戦後の造林期の植林も多い。また,林業を生業として暮らしてきた芦津(あしづ)集落は茅葺(かやぶき)民家や土蔵などが多く現存し,集落を取り囲む森林は,林業集落ならではの景観を形成し,森林資源で財を得た石谷(いしたに)家(け)住宅を中心とした宿場町も当時から現在に至る往来の面影を残す歴史的景観を形成している。さらに木材の運搬手段とした千代川,森林鉄道,旧街道も往時の生業の姿を垣間見ることができる。このように林業という中心的産業を通じて,森林・山村集落・宿場町・流通往来景観など多様性に富んだ景観が形成され,我が国における中山間地における造林の典型的な林業景観として重要である。
(文化庁 国指定文化財等データベースより)
「智頭の林業景観」は、参勤交代の宿場町として栄えた「智頭宿エリア」、広大な財産区有林を有する智頭町随一の林業集落である「芦津集落エリア」、智頭林業発展の礎となった「東山・沖ノ山エリア」が現在選定されています。
林業の長い歴史の中で形成された、「山村集落と周辺の人工林」(芦津集落エリア)、「林業で栄えた宿場町と周辺の山林」(智頭宿エリア)さらに「天然スギと広葉樹林広がる中山間地」(東山・沖ノ山エリア)は、日本が誇る重要な文化的景観であり、国土の70%が森林の森林大国日本において、智頭町は唯一、「林業景観」として国の重要文化的景観に選定されています。
智頭町では、町全域が林業を核として形成された文化的景観であると捉えており、今後も選定エリアの追加を目指しています。
智頭宿
慶長杉とその周囲の山並み
石谷家住宅
人工林と天然林の山並み
重要文化的景観選定範囲
「智頭の林業景観」の選定範囲は以下のとおりです。
※赤線が選定範囲です。
各エリアについては以下のページをご覧ください。
重要文化的景観「智頭の林業景観」エンブレム
令和元年度に智頭の林業景観のエンブレムが作成されました。「林業の町 智頭」を象徴する美林が、苗木を育ててきた結果であり、智頭の人たちを支えてきたことをイメージしています。
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