移住者・定住者インタビュー

誰かがつながり、何かが生まれる「場」づくり。

奥平 大さん


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 フットワークが軽く、地に足をつけた視点を持っている人というのが奥平さんの印象だ。福岡県から鳥取市、そして智頭町へ移住。昔から続く商店街にカフェをオープンさせ、人や事をつなげていく場づくりに挑戦している。「性格的に人見知りなので…」と言いながら、静かに、確かな夢を語ってくれた。

Profile

奥平 大(おくだいら はじめ)さん

1990年、福岡県福岡市生まれ。福岡県で地域おこし協力隊として働いたのち、2017年に鳥取市に移住。18年、鳥取駅前に立ち飲み屋「おくだいら商店」をオープン。2020年3月から智頭町に拠点を移し、古民家を改装して4月にカフェ「YANAGIYA」を開く。

思い立ったら、即行動

──鳥取県に来てわずか3年で、鳥取市内と智頭町に2つのお店をオープンした奥平さん。驚くべきはその行動力です。「食指が動くというか、面白そうだったらやってみたくなる」と目を輝かせますが、何が彼をそうさせているのでしょうか。

奥平さん:

 鳥取に来たのは、福岡県でリノベーションスクール(遊休不動産に新たな価値を生み出して利活用していく手法を学び、実践する講座)のスタッフで関わっていて、鳥取市がスクールを開催する時に見に来たのが最初です。知り合いが増え、誘われて移住を決めました。飲食店の経験もあまりなかったですが、レストランバーでバイトをしながら経験を積み、3年前に鳥取駅前で立ち飲み屋を始めました。そこのお店も常連さんがついてくださり、コミュニティーが出来つつありました。

 智頭町に拠点を移すのを考えたのはそんな頃。図書館が新設され、それに合わせてまちなかの通りを盛り上げるプロジェクトがあり、それに誘われたのがきっかけでした。もともとやっていた動画制作をしたり、商店街で店をやらないかという話で、面白そうだなと直感が働いたんです。

 思い立ったらすぐにやってみる性格は大学時代からで、関東の大学に通いながら、ボランティアで全国を飛び回っていました。ノリや勢いもあっていろいろなところに出向き、その度に知り合いが増え、自分が楽しいと思う場所が増えていく。それが楽しくて、そこでフットワークが軽くなったような気がします。

地元商店街の中で、新たなお店をオープン

──人見知りの奥平さんだが、素直で優しい性格や人柄もあって、お店にはそれまで通りで見かけなかったような若いお客さんが来店すると言います。移住してきた人や新たな挑戦をする仲間が多いことも奥平さんの背中を押しているようです。

奥平さん:

 YANAGIYAがあるのは、智頭町の中でも街中の商店街で、いい意味で気質がカラッとした人が多いのは個人的にはありがたいです。住居兼店舗にできる物件を探していて、出会ったのがこの築100年の古民家でした。まさに思い描いていたような物件で、外から見える造りで内装的にもそんなに手を入れる必要がなく、壁を塗って、照明や薪ストーブをつけたくらいで済みました。今は1階をカフェや食器類の販売、2階はレンタルオフィスにしていて、自分が住む部屋を除いてもまだ部屋も余っているくらいです。

 名前を決める時も悩みましたが、このあたりの人から「昔は柳屋さんという旅館だったんだよ」と教えてもらい、みんながここの事を「柳屋さん」と呼んでいたんです。それだけ馴染みがある場所ながら僕が変な名前をつけるよりも、そのままお借りしようと思って名前を決めました。お店ももともとターゲットにしていた10代後半から20代半ばくらいの人がSNSを見てわざわざ来店してくれることが増えてきました。

 移住する前は少し心配していた食材の買い出しも近所のスーパーさんがあって困らないし、住んでいても特に何かがないという不足感もありません。 智頭町は新しいことを始めやすい町だと思います。移住者の人も多いし、周りにいる人たちもそういう人が多い。そういう動きを嫌がる人が割合的に少なく、挑戦を認めてくれる人たちが見守ってくれる印象です。

ここから何かが生まれる「場」にしたい

──お店をオープンして約1年で、少しずつ認知が広がりつつあると言うが、奥平さんはまだまだ思い描く場になっていないと目標を持っています。それは地元の人も、外からやってくる人も、人々が出会い、ここからつながりが生まれることだと言います。

奥平さん:

 コロナウイルスの流行で、オープン2日後には休業していたので、想定がひっくり返されてからのスタートでした。今はとにかくお店をしっかりと回していくことが大事ですが、こうなったらいいなぁという店の姿はあります。

 一つは、図書館が新しくなって街中を盛り上げるため、一つの場としての役割を果たすこと。もう一つは、拠点としての場の役割です。鳥取市内で経営している「おくだいら商店」もそうですがコミュニティーのようなものが生まれ、そこを起点に何かが発信されたり、つながりを生んでいくような場所でありたいと思います。

 僕は、単なるお店を作ることがしたいわけではなく、作った場所でそこをうまく使っている人たちが楽しそうに輝いていくのを一人でも多く見たいんです。おくだいら商店でも、県外のお客さんが誰かから「あそこに行けば町の人と話せるよ」とか「何かがあるよ」と言ってもらえるのが嬉しい。そういう最終的に目指す「絵」が思い描けたから、智頭町にきました。これからもっともっと挑戦していきたいと思います。

──この冬は厳しい寒さに見舞われ、智頭町に住む奥平さんもその洗礼を浴び、水道の蛇口に穴があいて床が水浸しになったそうです。でも、便利なことや楽しいことだけでなく、そういうことも受け入れていると奥平さん。前向きな姿勢で智頭の暮らしを楽しんでいました。

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